2011 父の誕生会と父の日をかねて
父の誕生会と父の日をまとめて、先日行いました。父の希望で、大学時代に考え、昔はよく作っていましたが、昨今のキャビアの高騰、タイラギ貝が入手困難になり作っていなかったものを、何とか手配して作りました。
【アミューズ:タイラギ貝と帆立貝、アスパラ、プチトマトのタルタルとムール・マリニエールの冷製】
タイラギはムール貝を巨大にした貝です。いつもは刺身用になっているものを購入するのですが、近くのスーパーでは注文しても入らないと言う事で、カサレッチョのファブリッツォ氏に、お願いして注文してもらったのです。
来たのは丸物で、タイラギを開くのに苦労しました。(貝柱まで貝開け包丁が届きません、しかたなくペティナイフで)
このタイラギは後でセルクルでくり貫いた部分を使うのですが、それ以外も、相当余るので、タルタルにしました。
他に、帆立の硬い部分、アスパラ、プチトマトのコンカッセ、ケッパー、イタリアンパセリ、ディルのみじん切り、レモン、バージンオイル、グレープードオイル、カイエンヌペッパーなどで作っています。
ムールは白ワイン蒸しをして、冷やしたもの。
まずは、ランソンの村名か畑名?を冠したシャンパンでスタート。
【冷前菜:中村屋さんのスモークサーモンと帆立のポワソン・クリュ】
冷前菜は定番の中村屋さんのスモークサーモンを二種類。紅鮭とアトランティックサーモン。それに、タイラギが入手できなかったときのために多めに発注しておいた帆立が余ったので、それをポワソン・クリュにしてみました。
【温前菜:帆立貝のポワレ タイラギ貝のクリュ、キャビア添え バベルの塔】
これをはじめて作ったのは、もう 20年以上、前のこと。最初は帆立貝のポワレと生で作っていました。
上の部分を生にするのは、キャビアに火を入れたくないからです。
上下とも帆立にすると、どうもしっくりこず、たまたま、帆立が入荷しなかったときに、上下とも刺身用のタイラギでしてみたのですが、今度はポワレしたタイラギが硬く、甘みが少なくNG。
では、二つを組み合わせてみればと、ポワレして甘みが出る帆立を下に。生で食べて、しっかりとした食感のあるタイラギを上にしたわけです。
その後、私のスペシャリテと言える一皿になり、何度も作ってきましたが、冒頭にも書いたとおり、昨今のキャビアの高騰、タイラギが入荷しにくくなり、もう何年も作っていませんでした。
今回、久しぶりに作りましたが、キャビアがロシア産、イラン産のセブルガかオシェトラを使いたいのに、それが入手できず、アメリカ産の違う品種のキャビアを使わざるを得ないことに。
どうもアメリカ産のそれ、塩味が強く、旨味が少ないせいで、久しぶりのバベルでしたが、私的には、100%満足できる皿とはなりませんでした。
この料理は、後日、レシピを掲載します。
【魚:アワビのポワレ ソース・ブールブランとコライユ風味のマリニエール】
魚も父が好物のアワビのステーキを。
アワビは¥5500クラスのものしか入荷せず、クールブイヨンで 1時間、煮たら、少し縮んでしまいました。
阪急のアワビで縮んだのは初めてです。いつも、¥8000クラスの巨大なサイズだと、縮まなかったのですが。
一つでは足りないので、¥1800クラスのアワビをもう一つ用意しましたが、こちらは、煮て、トコブシサイズにまで縮んでしまいました。
ソースはエディーさんのご要望でブールブラン。4人分の分量で作ると安定します。
もう一つはノイリーを煮詰め、アワビの茹で汁、ムールの白ワイン蒸しのだしを加えて煮詰め、肝の裏ごしを加え、バターでつないだもの。
アワビ自体は縮みはしましたが、味自体はよく、この日、一万満足できた一皿でした。
これにあわせたのは、ニコラ・ジョリのクーレ・ド・セラン 96 。
旨味が強く、腰があり、たいそう、美味しいワインでした。
92 をもう一本残してあるので、これは、長期熟成させる予定です。
この料理は後日、レシピを掲載します。
【肉:阿蘇赤牛マルシンのロースト トリュフとポルチーニ香るソース・マディラ】
肉はいつもは、大井のマルシンを使うのですが、エディーさんが一度、赤牛を使ってみてはとネットで購入。
赤身が強いとかかれていたので、期待したのですが、初めての肉なので、このイベントの数日前に実験をしてみました。
肉を掃除した段階で、サシが多く入っており、まず疑念が。ついで、肉の色が白い。
かなり不安になり実験してみると、案の定、赤身の味はまったく無く、まるで仔牛のよう。
そのくせ、脂肪が強い。その脂肪は、黒毛ほどくどいものではないですが、逆に言えば、脂を感じるくせに深みが無い。
普通にステーキで食べて、かなり不安になり、ボルドレーズでローストしたものの半分を食べると、赤ワインの酸が際立ち、ボルドレーズでは無理だと判断。
軽めのトリュフ風味のマディラソースで食べると、まだ、ましだったので、こちらを採用しました。
実際、仔牛の料理で、ソース・スービーズを上に乗せ、マディラソースを流した一皿がありますので、こちらの方が良いだろうと思いましたし。
赤ワインは、Ch グランピュイ・ラコスト 78。ティスティングして、大分力が弱くなっていると言う事で、ソースをクレメし、少し、丸みをもたせて仕上げました。
肉もいつもより、浅く火を入れ、色々、手を尽くしましたが、結論から言うと、失敗に近い一皿。
ソースの味に肉がまったくついてこず、そのくせ、仔牛と違い、噛むと脂が出て来て、くどい。
エディーさんは実験で、所謂グレービーだと、そこそこ食べられたと言っておりましたが、
私は、ここの肉は二度と使いません。
ま、100g ¥450(税抜き)ですので、値段相応と言えば、そうなのですが、イベントで使う代物ではありませんでした。
ラコストも、後半は、完全に落ちてしまい、最後の選択は失敗だったと言えましょう。
尚、肉は、相当余り、翌日、サラダ仕立てで二度、食べましたが、この食べ方が一番無難でした。
それでも、いつも行くスーパーのコールドビーフ用の濃いタレでは肉が負け、醤油ベースの別のタレに和芥子を加えたものであれば、無難だったという感じでした。
チーズも買ってきていましたが、ワインもなくなりましたし、おなかも一杯でパス。
食後は、エディーさんの定番、モヒートを飲み、若いラガブーリン、リキュールなどで、ベガス・ロバイナのユニコスと、ボリバーのインメネンスを吸いました。
少し、素材的に期待通りのものが入手できず、少し、残念な結果になりましたが、キャビアとアワビを食べられた父は喜んでくれたので、まあ良かったことにしておきます